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最高裁判所第三小法廷 昭和25年(さ)39号 判決

主文

本件非常上告を棄却する。

理由

本件非常上告の理由は末尾添附別紙記載の通りであるが、非常上告は抽象的に法規適用の誤を正すことを目的とするものであって、個々の裁判の事実認定等の誤を是正することを目的とするものではない。本件非常上告の理由とする処は要するに掛川簡易裁判所が言渡した判決において被告人は当時満十八才未満の少年であったに拘わらず、満十八才以上の者と誤認したという、事実認定非難を前提として手続違反を主張するものであって、かくの如きは非常上告の理由とならないものである。(刑事訴訟法第四六〇条第二項にいう事実の取調とは例えば公判請求書が適式なりや否や、真正に権限ある者によって作成されたりや否や、公判を公開したりや否や等手続そのものについての事実をいうのであって被告人が幾才であったかという様な前提事実を指すものではない。)

よって刑事訴訟法第四五七条に従って主文の如く判決する。

右は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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